緒方林太郎

【緒方林太郎】連合王国とスコットランド

【以下はFBに書いたものを加筆、修正したものです。】

 スコットランドがEUに残ると言っています。

 まず、そのために、スコットランドは独立しなくてはならないかどうかという点からスタートしてみます。仮に独立せずに、脱退した(スコットランドを除く)連合王国と(EUに残る)スコットランドで連合国家を作る事を考えてみましょう。

 行政、経済の実務的には以下のようになります。

  • ①スコットランドにはEU指令が適用される、離脱した連合王国にはされない。
  • ②貿易の輸出についてはスコットランドから輸出すればEUで無税、離脱した連合王国から輸出すればEUが対外的に課している関税(輸入も同様)。
  • ③スコットランドは非EU諸国との貿易でEU統一関税を適用、離脱した連合王国は独自の関税。

 こんな連合国家はあり得ないのではないかと思います。そもそも、国の基本的な部分である法規や徴税システムが違うのに、同じ連合国家の中に居ますというのは私の常識観では想像できません。

 また、条約上見ていても、EUのリスボン協定は、加盟する主体を「Member State」としています。ということで、現在のスコットランドが”state”かという議論になります。

 スコットランドが”nation”ではある事を否定することは出来ません。例えば、ラグビーの選手権で「Six Nations」と呼ばれる大会があります。私がフランスに住んでいた時、最初「6か国?何処だ?」と思いましたが、イングランド、フランス、イタリア、アイルランド、スコットランド、ウェールズです。

 ただ、日本語では一律に「国」と訳される”state”、”country”、”nation”ですが、含意は全然違います。非常に雑に言うと、”state”は政治機構、”nation”は帰属意識の対象を指します。現時点で、”nation”であるスコットランドを”state”とは呼べないでしょう。

 ここまでを纏めれば、行政、経済上も、条約上も、スコットランドが”state”たる独立国家にならないと、EU残留は難しいでしょう。

 では、独立国家としてどうやって残るかという事ですが、ここは少しバラエティがあり得ると思います。

(ア)独立国家として新規加盟

 この場合、今のEU基本法であるリスボン協定の加盟の手続きが適用されます。

Article 49
Any European State which respects the values referred to in Article 2 and is committed to promoting them may apply to become a member of the Union.

 独立国家としてであれば、ここは何の問題もなく適用可能です(独立国家でなければ、事実上、適用できない)。

(イ)連合王国の承継国家として残留

 連合王国が現在、EUで享受している様々な権利(+義務)を承継する国家として、スコットランドが独立するというイメージです。ちょっとトリッキーにも見えますが、決して無理だとは思いません。スコットランド側の問題というよりも、EU側が承継国家だと見なして、今の連合王国に適用する制度をすべてスコットランドとの関係で認めてあげる限り、何の問題も生じません。

 どちらにしても、独立して残留するのなら、EU側は可愛い、可愛いスコットランドに最大限の配慮をするでしょう。今以上に恩恵を出したりする事すら考えられます。

 私が見る限り、こんな感じです。ところで、今日はあまり細かく書きませんが、連合王国の核兵器(トライデント・ミサイル)を搭載可能なヴァンガード級原子力潜水艦の帰港であるクライド海軍基地はスコットランドにあります。核兵器はスコットランドが保有することになるのかな、いう疑問があります。

 その他にも、連合王国の大事な収入源である北海油田はすべて基線をスコットランドから引いた場所にあります。独立すれば全部スコットランドに行ってしまいます。

 最後の2点は、以前のスコットランド独立の住民投票の際も、大きな議論になった事です。深刻だと思いますね。 


出典:http://ameblo.jp/rintaro-o/entry-12175911053.html


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