海江田万里

【海江田万里】【高校生にわかる政治経済】(第8回)自民党の憲法改正草案の問題点(その1)

安倍晋三総理は今回の参議院選挙での争点は、アベノミクスを続けるか否か、即ち経済だと言っていますが、自身で「憲法改正は議論も選挙が終わったら直ちに行いたい」と言明しています。そこで自民党が2012年4月27日に決定した「憲法改正草案」を改めて考えてみたいと思います。

●先ず、現行憲法99条に「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他公務員はこの憲法を尊重し、擁護する義務を負う」とあります。これが自民党の草案になると、第102条で「全て国民はこの憲法を尊重しなければならない。2 国会議員、国務大臣、裁判官その他公務員は、この憲法を擁護する義務を負う」とあります。

現行憲法の考え方は、国の主権者である国民が、憲法を通じて、国務大臣や国会議員、裁判官や公務員などいわば権力の側にある人たちに、「権力行使の際にあくまで憲法の範囲内で立法や裁判、行政を行いなさいと」、憲法尊重と擁護の義務を負わせています。

自民党案では国民に対して憲法を尊重する義務を負わせ、主権者が国民であるという考えがあいまいになっていると考えられます。

このことは憲法の前文の書き出しでも、現行憲法が「日本国民は・・・」で始まるのに対して自民党案では「日本国は・・・」となっていることからもよく分かります。

●現行憲法第12条(国民の責務)「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない。また国民は、これを濫用してはならないのであって、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負う」。

自民党の草案では「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力により、保持されなければならない。国民はこれを濫用してはならず、自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚し、常に公益及び公の秩序に反してはならない」。

ここでも、現行憲法では主権者である国民が自由と権利を濫用しないように、主体的に行動するのに対して、自民党案では、「常に公益及び公の秩序に反してはならない」と国によって決められた公益や公の秩序によって制限されています。

●現行憲法第19条「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない」。自民党の草案19条では「思想及び良心の自由は保障する」。

思想や良心の自由は、国によって保障されるものではなく、主権者たる国民がもともと持っているものではないでしょうか?国家権力は、これを侵してはならないのです。

まずは、ここまでにして、続きは次回アップします。

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出典:http://kaiedabanri.jp/topics/201607059007.html


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