海江田万里

【海江田万里】【高校生にわかる政治経済】(第8回)自民党の憲法改正草案の問題点(その2)

昨日に引き続き自民党の憲法改正草案の問題点について考えます。

●憲法9条について、自民党案は、現行憲法の2項「前項の目的を達成するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権はこれを認めない」との規定を削除し、替わって「前項の規定は自衛権の発動を妨げるものではない」との規定が設けています。そして最大の問題は第9条の2として「国防軍」の創設がうたわれていることです。

自衛隊は、現行憲法の枠の中で、日本の領土・領海・領空、国民の生命・財産を守るために生まれた組織で、その「専守防衛」の考え方は多くの国民の支持を得ていると思います。にもかかわらず、自民党の草案では、アメリカの軍隊などと同じ性格を持った軍隊をつくろうとしています。自民党案の第9条3では「国防軍は・・・法律の定めるところにより、国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動及び公の秩序を維持し、又は国民の生命若しくは自由を守るための活動を行うことができる」とあります。これを先に成立した安全保障関連法と結び付けて考えると、地球の裏側の戦争にも日本の国防軍は出かけて行って、アメリカ軍と肩を並べて戦争することになります。

自民党案の第9条の3には「国は、主権と独立を守るため、国民と協力して、領土・領海及び領空を保全し、その資源を確保しなければならない」とありますが、「国民と協力して」の文字が気になります。この規定があることによって将来の徴兵制に道が開かれる可能性もあります。

●自民党草案で新設され、今、もっとも実現に力を入れているのが「緊急事態」の項目です。

自民党案では98・99条で、「内閣総理大臣は、我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、地震等による大規模な自然災害その他法律で定める緊急事態において、特に必要があると認めるときは、法律の定めるところにより、閣議にかけて、緊急事態の宣言を発することができる。(中略)緊急事態の宣言が発せられたときは、法律の定めるところにより、内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定できる(以下略)」。

「その他法律で定める緊急事態」というのが曲者です。私も、東日本大震災と過酷な原発事故で法律の不備を経験しましたが、それは法律を改正したり、新規制定すれば対処できることで、憲法に手を付けなければ何もできないということではありません。

●この他、自民党草案では第100条に憲法改正についての規定があり、現行憲法96条の「各議院の総議員の3分の2以上の賛成で国会が発議」を「両議院のそれぞれの総議員の過半数の賛成で国会が議決し、国民に提案してその承認を得なければならない」として、憲法改正のハードルを低くしています。問題点はまだありますが、一番の問題は、安倍総理と草案を決定した自民党の議員は、「憲法は権力をしばるものであって、国民をしばるものではない」という立憲主義の大原則を理解していないことだと思います。

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出典:http://kaiedabanri.jp/topics/201607069010.html


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