緒方林太郎

【緒方林太郎】コメの密約

 先日、日本農業新聞の山田編集委員の著書「亡国の密約」を読みました。テーマは多岐に亘りますが、中心的なものは「1994年にウルグアイ・ラウンド合意をした際、日本はアメリカから一定(50%弱)のコメを買う事を、ミニマム・アクセス米の枠内で約束したのではないか。」というコメの密約です。

 この本、私が出て来ます。昨年の予算委員会で本件を取り上げた部分が出て来ます。国会でこういう事を聞く議員は多くありませんので目立ったのでしょう。当時は注目されませんでしたし、あまり評判もよくありませんでした。

 その時、私の「何故、アメリカ産のコメのシェアが一定なのか。おかしくはないか。」と質問したのに対して、当時の林農水相から以下のような答弁がありました。

【平成27年3月5日衆議院予算委員会(議事録抜粋)】

○林国務大臣 (略)米国産の輸入が多く、かつ安定しているということでございますが、まず、米国からは中粒種というのを大宗、輸入しております。これが、我が国の国産の加工用米の品質に近くて、国内の実需者から一定の実需が、需要があるということと、それから、ほかの国のお米と違いまして、安定的な生産量と輸出余力を有しているということ、それから、もちろん安全性の面でも問題が少ない、こういうことがあって、こういう数量で推移しているものと考えております。

 その後、本件は放ったらかしにしていましたが、山田編集委員の著書で取り上げられたこともあり、もう一度調べてみることにしました。農林水産省から「ミニマム・アクセスを一般輸入する際の仕様書を過去3年度分」、要求しました。そして、それを入札の結果と照らし合わせながら私なりに以下の通りまとめてみました(仕様書の方は見てもつまらないので、まとめだけ見ていただければOKです。)。

・ 平成25年度(仕様書まとめ

・ 平成26年度(仕様書まとめ

・ 平成27年度(仕様書まとめ

 「まとめ」を3年分見ていただければ分かりますが、アメリカ産が30万トン前後で収まるように上手く調整されています。年度途中から年度末に掛けて、しっかりと数が調整されるようになっています。平成27年度は、最後の入札で強引にアメリカ産44000トンを押し込んで、年間輸入数量を30万トンに合わせています。完全に「神の手」が働いています。

 鍵となるのは「国を指定した入札」です。最初から「アメリカ産を買います。」という前提で入札する部分がアメリカ産の輸入ではとても多いです。この手法がまかり通る限りは、「神の手」を働かせる事は容易です。平成25年度などは、アメリカ産指定の入札が不調であっても、その後の入札でその不調分を補って数字合わせをしています。

 こういうふうに指摘すると、上記の林大臣のような答弁が返ってきます。しかし、もう一度よく「まとめ」を見ていただくと分かるのですが、国を指定しないかたちでの入札「グローバル・テンダー」ではアメリカ産は人気がないのです。タイ米の方が人気なのです。きちんと需要を勘案するならば、すべてグローバル・テンダーでやればいいのです。そうせずに、入札の時点で国指定をする事自体、アメリカ産を優遇しようという意図が働いていることを伺わせます。

 もうここまで来ると無理の無理押しの域に入っており、「ミニマム・アクセス米でアメリカ特別枠などない」、「ミニマム・アクセス米は国際ルール(GATT17条)に従って、商業的考慮のみに基づいて輸入されている」、そんな理屈はすべて崩壊しています。

 TPPでは更にアメリカ産米を7万トン輸入することを約束しています。かつ、「プラスα」での輸入も裏約束(undocumented commitment)しているようです。こういう事を隠して、TPPの国会審議をするのはとても変な事だと思います。今年の秋の課題にしておきます。


出典:http://ameblo.jp/rintaro-o/entry-12179551395.html


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