井戸正枝

【井戸正枝】「都市部モデル」ではなかった東京の選挙

『世界』(岩波書店)に「秘境の村社会 地方議会は変われるか」を書いたのは2014年の夏、2年前のことだった。
伏魔殿・東京都議会のことが話題になっているが、
その後、選挙区が東京に移り、気がついた最大のことは、
東京23区での選挙は「都市部モデル」ではなく、むしろ「地方モデル」である、ということだった。
そう考えると、都議会のボスの存在や、密室で様々なことが決まって行く過程も含めて納得できる。

そのワケは東京23区が特別区であることと密接に関わる。
中心部が政令市となっている神奈川や兵庫とは根本的に違うのである。
何が違う?
議員の数が、である。圧倒的に。
国政選挙や都道府県知事選挙で重要な点は、強固な後援者を持つ地方議員がどれほどいるか、である。彼らは実動部隊として動くから、通常、その数の差が陣営の強さの差と比例する。
以前も書いたが、神戸で選挙をやっていた時のワタクシの選挙区兵庫1区の場合、県会議員は定数3、市会議員は定数9。このうち自民党はそれぞれ、1と3。民主党は1と2。実はそんなに変わらなかった。
これに対し、一般市が中心だった宮城4区の場合、県会議員は定数2で市町は2市9町。その全てに議会があるので、地方議員は合計で約120人ぐらいいるわけだ。そこで、民主党の県会議員は0、市会議員は1。つまりは地方議員だけで比べると1対119、みたいな形になるのだ。
東京の特別区を見てみよう。例えば大田区の場合、定員50名。
自民党が16、公明党が12、民進党が5、共産9、維新2、無所属6。
たぶん、この勢力図はどこの区もそう変わらないであろうと思う。
政令市だったらつかない差が、これだけつくのである。
この差を埋めるものが「無党派層」といえるわけだが、そうそう風は吹かない。だからこそ日常活動を厚くなければならない。
地域の区議会議員が多くいる、ということは、地域の陳情・要望を細かく聞き取り、その都度答えを出して行く、また冠婚葬祭やお祭りや会合出席も含めた地域密着的な政治が行われているということでもある。
「ドン」が生まれやすい土壌でもある。
一方で地方政治がオール与党になりやすいのは、与党でいないと予算を始めあらゆる所でアウトプットが出し難くなる、ということにも起因しているように思う。
・・と言う感じに、選挙続きの毎日の中で、続編書けそうだな、と思いながら、ビラを配り、マイクを握りつつ、一方の頭ではついつい、「東京という名の秘境の村社会」を思索、分析しております。


出典:http://idomasae.cocolog-nifty.com/blog/2016/07/post-22c0.html


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