緒方林太郎

【緒方林太郎】答弁書から読む海洋政策

 最近の日本領海及び近海並びに南シナ海における中国の動向を踏まえて、幾つか押さえておいた方がいいと思ったことがあり、8月1-3日までの臨時国会に際して質問主意書を提出しました。基礎的な内容から若干の政策的な展開をしていくためには重要なポイントばかりだと思います。

 

【我が国の領海と国際海峡に関する質問主意書】

質問 答弁

(解説)

 中国艦船が屋久島と口之島との間の海域を通航した際、日本として抗議をしたら「あそこは国際海峡だ」という反論が返ってきました。それを踏まえると、重要なポイントは「日本は国際海峡制度についてどう考えているのか?」ということになります。

 答弁は真正面から答えていない部分もありますが、概ねこんな感じです。

(1) 国際海峡としては、宗谷海峡、津軽海峡、対馬東水道、対馬西水道、大隅海峡がある。

(2) これらの海峡については領海の主張を3カイリで留めており公海部分が存在するため、国際海峡に適用される通過通航制度は適用されない。

(3) なお、通過通航制度がどういうものであるかについては、不確定な面がある。

(4) 屋久島又は口永良部島と口之島との間にある海域は海峡であるが、国際海峡ではない。

 これまでの答弁の繰り返しですけども、中国との関係ではちょっと弱いんですよね。中国は彼らなりの理屈による「国際海峡」と「通過通航」の制度で押してきています。曖昧な所を残すと、中国はそこを押してきます。

 しかも、厳しいのは本件では(海洋の自由航行に強くコミットしている)アメリカがサポートに回ってくれない可能性が高いということです。日本単独で押し返さなくてはなりません。

 

【領海の境界画定における歴史的権原に関する質問主意書】

質問 答弁

(解説)

 質問を簡単に言うと、日本は中国が主張している「九段線」のような海域を持っているか、中国の「九段線」の主張についてどう思うか、ということです。答弁は、日本は「九段線」のような歴史的権原に基づく主張は行っていない、日本以外の場所については承知していない、という立場です。

 日本はサンフランシスコ平和条約で周辺海域については厳格に放棄の手続きを取っていますので、歴史的権原に基づく海域の主張をしていないことはある意味当然のことです。ただ、仲裁裁判所の判決を踏まえて、南シナ海でもう少し踏み込んだ答弁になるかなと思いましたが、そこはとても慎重でした。

 

【領海基点と岩に関する質問主意書】

質問 答弁

(解説)

 日本の領海基点の内、国連海洋法条約上の「人間の居住又は独自の経済的生活を維持することのできない岩」のような場所があるのかという問いのつもりでしたが答弁は完全に逃げられました。

 「我が国が領海基点としている領土」って、そんなに不明な概念ですかね。まあ、仕方ないです。今後の課題にします。

 

【竹島問題に関する質問主意書】

質問 答弁

(解説)

 日本は竹島問題について、どの程度の選択肢を持っているのかという問です。

 機微な内容なので、一つ一つの選択肢について「これはそうです」、「これは違います」という答弁が返ってくるとは毛頭思っていませんでした。ただ、「ご指摘のような点も踏まえ」くらいは言ってくれるのかなと期待しましたが、非常に慎重な答弁でした。

 以上、私が提出した4主意書の質問及び答弁をそれぞれ紹介させていただきました。既存の答弁ラインを超えるものはありませんでしたが、現在の日本の海洋政策を読み解くにはある程度の情報が提供されていると思います。

 南シナ海における仲裁裁判所判決を見ても分かる通り、これは「法戦」です。いずれ、この答弁ラインよりもアクセルをグッと踏み込まなくてはならない局面は出てくると思います。その時に当惑したり、混乱したりしないように、法戦に勝てるための理論的基盤を作っていく必要があります。

 

 これらの答弁を踏まえて、野党側からも良い知恵を出していきたいと思います。


出典:http://ameblo.jp/rintaro-o/entry-12191180927.html


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