海江田万里

【海江田万里】日銀の新たな金融緩和策について

日本銀行は21日、政策決定会合を開き、2013年4月から進めてきた「量的・質的金融緩和」策の総括を行うとともに、新たな緩和策として「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」策を決定しました。

前回の金融政策決定会合で約束した「総括的検証」は、正直言って期待外れです。「検証」では、黒田総裁が3年5か月前に約束した「2年で物価2%上昇」がまだ果たされていないことは認めつつも、その原因を①原油価格の下落、②消費税率引き上げ後の需要の弱さ、③新興国経済の減速とそのもとでの国際金融市場の不安定な動き、としています。①と③については確かに「外的要因」で、日本一国ではどうしようもないことですが、②の消費税率の引き上げ後の需要の弱さは、予想されていたことで、しかも国内要因です。

私は、日本社会の少子高齢化が進み、消費活動が活発な若年層の雇用が不安定の状態のままでは個人の消費活動が活性化するはずもないと考えています。

もっとも、この対策は政府の仕事で、日本銀行の仕事ではないとも言えますが、それならば、これまで日本銀行が進めてきた「量的・質的金融緩和」が、少子化高齢化の日本に適合しているかの検証はあってしかるべきだと考えています。マイナス金利の導入などは少子化高齢化の日本の中央銀行がとる政策ではないと思います。

また、「検証」のはじめに「(日本経済は)物価の持続的な下落という意味でのデフレではなくなった」と書いていますが、この記述は果たして多くの人の共感を得られるか疑問です。特にマイナス金利を導入した後、今年の2月からの6か月間は、消費者物価指数は連続してマイナスになっています。

新たに導入した「長短金利操作」の手法で、短期金利は従来どおりですが、問題は「長期金利を年ゼロ%に誘導する」政策です。長期金利は、市場の様々な要素を織り込んで決まるもので、日銀が操作して、その通りに動くという保証はありません。

今回の決定会合でETF(上場投資信託)を「年間6兆円に相当するペースで増加するよう買い入れる」ことが決まりましたが、同時に発表されたのは、これまで全体の半分程度に限っていたTOPIX(東証株価指数)に連動するETFの買い入れを全体の三分の二に変更することでした。GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が株価の押し上げに懸命なことは周知の事実ですが、日本銀行もETFの購入を通じて、株価上昇の後押しをしています。日銀にそこまでの役割を押し付けていいとは思いません。


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