杉村慎治

【杉村慎治】「安倍政権の進める働き方改革」には警戒が必要だ!

8月に発足した第3次安倍再改造内閣では、働き方改革担当大臣のポストが新設され、内閣官房には「働き方改革実現推進室」が設置されました。
本日、その初会合が行われる予定とのことです。

もし仮に安倍総理が、働く人のための改革、汗をかいて働く庶民のための政治をやる、
というのなら、私もそれに賛同し、建設的な提案をしていきたいと思います。

しかし残念ながら、そうなる可能性は限りなくゼロに近いと考えざるをえません。

まず今回の「働き方改革」は、労働行政の専門家集団である厚生労働省を外して進められています。
9月26日付の産経新聞の記事によると、この点について政府関係者は「厚労省でやるとどうしても労働政策審議会(労政審)にかかる。官邸で色々なフィルターをかけて幅広に議論するということだ」と解説しているそうです。

その労政審の構成メンバーは、労使とも各10人で程よいバランスなのですが、
安倍官邸肝いりの「働き方改革実現推進室」では、労働者側の代表は連合会長の神津里季生氏たった1名のみで、使用者側の団体代表は3名(!)、加えて大手企業の役員・幹部数名が名前を連ねています。

安倍官邸が、どんな「働かせ方」を実現しようとしているのか、透けて見えてくる人事といってよいでしょう。
そもそも自民党政権には、ホワイト・カラー・エグゼンプション、いわゆる残業代ゼロ法案を、「家族団らん法案」と言い換えてきた伝統があります。

加藤勝信・働き方改革相も、9月7日付けの日経新聞のインタビューで色々と踏み込んだ発言をしています。
何より見逃せないのは、
「労働基準法のあり方の検討をこの会議で進める」と明言していることです。

現行の労働基準法は、特に中小企業では有名無実化しているという大きな大きな問題はあるものの、基本的に働く人の側に立った優れた法律といって良いと思います。

私は、この労働基準法を遵守させるための方法論を考えた結果、
行政自らが労働問題解決に向けた使命を帯びるよう、基本方針を定めた労働者基本法の立法などを提案してきました。

しかしまさか、「労働基準法が厳しすぎて遵守できないのであれば、労働基準法を緩和させよう」という方向の<改革>が行われることになるとは思ってもいませんでした。

そもそも安倍政権が推進するとしている長時間労働の規制にしろ、それを遵守させる仕組みがなけば労基法同様に有名無実化する可能性が高いのです。
また、残業の上限規制はさらに筋が悪く、すでに問題化している「残業隠し」に対応できないはずです。

このように、現在までの議論をひとつひとつ見ていっても、
安倍政権が働く人の側に立って改革を進めていくようには思えないのです。

今回ここに書いたことが杞憂に終わればそれに越したことはありませんが、
今後も蓮舫新執行部の下、より厳しい目で、政府の「働き方改革」の方向性を注視していきたいと考えています。


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