奥野総一郎

【奥野総一郎】学校等公共施設の耐震化は十分か?

 衆議院総務委員会で、地方交付税法及び地方交付税特別会計の一部改正法の審議が行われた。熊本に復興基金510億円を組成するため、特別交付税を交付するための改正が主であり、復興を優先する立場から我党は賛成した(補正予算本体には反対)。関連して私は、公共施設等の耐震化について質問を行った。熊本地震では、①避難所となるべき公立学校の体育館の3分の1(223校中73校)、②復旧の拠点となるべき庁舎(宇土・八代・人吉・天草各市、大津・益城各町)、③熊本市民病院が使用不能となった。首都直下地震や南海トラフ地震も想定される中、こうした公共施設等については、一層の安全対策が必要であり、対応を求めた。
 問題は①庁舎の耐震化の遅れと、②耐震化工事の信頼性である。①については鉄筋コンクリート造り5階建ての建物の4階部分が押しつぶされ、崩壊寸前になった宇土市役所本庁舎が、「約50年前に建てられた。十数年前の耐震試験で「震度6や7の地震には耐えられない」との結果が出ていたが、財政上の理由から建て替えを先延ばししてきた。」と報道された(朝日新聞4月16日)。公共施設等の耐震化率は88.3%だが、庁舎については74.8%と遅れている(学校施設耐震化率は98.1%)。東日本大震災を契機に、平成28年度までの措置として「指定避難場所とされている、災害時に災害対策の拠点となる、公共施設・公用施設の耐震化」を対象事業に含む「緊急防災・減災事業債」(充当率100%、元利償還金の70%を基準財政需要額に算入)制度が設けられ、耐震化が進みはじめた。現状、事業の継続が必要なことは明らかであり、高市大臣からは「延長を前提に今検討中」との答弁を得た。これにより、庁舎・体育館・病院などを含む公共施設・公用施設の耐震化を一層進めることができる。
 ②(耐震化工事の信頼性)については、現行の建築基準(昭和56年)を満たせば、震度6強から7に達する程度の大地震に対しても「倒壊」しないとされている。熊本地震では、耐震化が完了した建築物で「倒壊」したものはない。その意味で建築基準は機能したと言える。しかし、体育館の外壁や窓ガラスが壊れるなど建築基準が及ばない非構造部材の破損、益城町役場では壁に亀裂が入るなど構造部分への被害により、継続使用ができなくなった。
 公共施設等については、継続使用を考えて、一段高いレベルの耐震基準が必要ではないだろうか。
 国土交通省は、「建築物自体に関して必要な、構造躯体の損傷防止とか非構造部材が脱落しないか、ということは、関係省庁と相談して整理する」「その建物がどの程度機能継続を、どの程度の地震でも、〜一切壊れないようにしなければならないのか、そういったことは、それぞれの施設の管理者によってのご判断」があり、その判断の「考え方の基準の整理をする」、つまり、何らかのガイドラインを示すということで歯切れが悪かった。
 庁舎は総務省、学校は文部科学省、病院は厚生労働省で考えるのが基本という答弁だが、まさに縦割りの弊害である。国道交通省はこれまでの建築基準が不十分であったことを認め、一刻も早く、ガイドラインの策定あるいは建築基準の見直しを行うべきだ。
 あわせて、改築に必要な財政措置、場合によっては老朽化した建築物については建て替えも可能とするような仕組みを作るべきではないか。こうした肝心な部分についてこそ、「未来への投資」だ。


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