斎藤嘉隆

【斎藤嘉隆】いじめ克服に向けて。

いじめ防止対策推進法が施行されて3年。法には施行後3年での見直し規定もあり、国政の場でも議論が進められている。より実効性のあるものにするために法律の手直しをすることに反対をするつもりはない。

ただ…

法制定後もいじめ抑制の効果が薄い、いじめが増え続けている、現場が無策だ、だから法律を強化しようという指摘は全く的外れであることだけは強調しておきたい。

統計上のいじめは確かに減ってはいない。多くの子どもたちがいじめに苦しんでいること事実だ。そのことによって子どもが自ら命を断つという不幸もいまだに続いている。残念でならない。

子どもの命を守ることのできない学校や教員をかばうことはできない。防げる事態を防ぐことができなかったのであればその責任は重大であるし、その者に教員を続ける資格はない。もちろんそれは親も同様だ。かけがえのない子どもの命を守ることができなかったことは関わる全ての人間の責任である。

今、教育現場はいじめに極めて敏感だ。過去のどの時期よりも対策は手厚い。とりわけ中学校の教員たちはささいないじめの兆候を見逃すまいと目を配り、緊張感の中にある。多くの教員たちとのやりとりから感じる肌感覚だ。いじめは減少している。10年前よりも20年前よりも様相は変わったものの確実に減っている。もはやいじめの兆候を見て見ぬ振りをする教員はほぼいない。ゼロではないがほぼいないと言っていいだろう。

それでもいじめは起きる。撲滅には至っていない。しかし、日本社会のどの場と比較しても、学校でのいじめが多いという状況にはないはずだ。このことを理解した上でないと真に効果的な対策を講じることはできないと思う。

いじめ問題の解決には数え切れないほどの課題をひとつひとつ解決、いや改善していく必要がある。教員の力量、地域の教育力、教育現場の多忙化、保護者の子供への向き合い方、子どものこころの教育、情報化過多社会、メディアの姿勢、ゆきすぎた格差社会、弱みを見せるものを徹底的に叩く風潮、そして政治…。

いじめ問題は学校だけでは解決しない。親や教育委員会をいくら非難しても解決しない。日本社会全体に起因する問題だからだ。もう一度知恵と心を合わせこの難題に向かっていこう。


記事一覧