緒方林太郎

【緒方林太郎】宇宙とは何ぞや

 昨日、内閣委員会で宇宙関係2法の質疑に立ちました。「人工衛星等の打上げ及び人工衛星の管理に関する法律案」、「衛星リモートセンシング記録の適正な取扱いの確保に関する法律案」の2法案です。担当大臣は鶴保大臣です。

 1時間の質疑時間の中、最初の所で「そもそも、宇宙とは何ぞや」という極めて単純かつ本質的な質問をしました。映像はココです。実はこれは深遠な議論がありまして、これだけで国際法の本が幾つもあります。私も質疑に際して、外務公務員採用一種試験の際勉強した山本草二教授の本などを少しひっくり返して勉強しました。

 学術的には、領空の上限としてカーマン・ラインというものがあり、このラインは上空100キロで設定されています。また、国会でも昔、議論になったことがあり、政府委員は以下のような答弁をしております。ここでも同じように100キロ前後の数字が出てきます。

 【参議院内閣委員会(昭和61年11月27日)】

 ○政府委員(斉藤邦彦君) (略)この辺で境界を引こうという国際的な議論が行われておりますのは、先ほど申し上げましたとおり、まだ合意がございませんけれども、大体上空九十キロとかあるいは百十キロとか、そういうところが討議の中心になっているようでございます。したがいまして、メートルで申しますと十万メートルでございましょうか、そのぐらいの高さのところで引くというのが大体のアイデアのようでございます。

 そういう認識なのかと聞いたところ、武井外務政務官からは上記答弁と比べても少し下がった答弁が返ってきました。具体的な数字は全く述べておりません。昭和61年から現在までの間で技術の発展もあり、100キロ以上は主権下になく、宇宙条約上、自由に使っていいとされることへの危惧があるのかなと思いました。

 私からは、更に「考え方として、領空―位置づけが判明しない空域―宇宙の三層構造なのか、領空―宇宙の二層構造なのだが、その境目が判明しないという事なのか。どちらか。」と聞いてみたのですが、ここも明確なお答えはありませんでした。

 こうやって宇宙と領空の切り分けの議論をしていくと、次の疑問が出てきます。「弾道ミサイル」です。弾道ミサイルへの破壊命令については、自衛隊法に以下の通り書いてあります。

 【自衛隊法(弾道ミサイル等に対する破壊措置)】

 第八十二条の三 防衛大臣は、弾道ミサイル等(略)が我が国に飛来するおそれがあり、その落下による我が国領域における人命又は財産に対する被害を防止するため必要があると認めるときは、内閣総理大臣の承認を得て、自衛隊の部隊に対し、我が国に向けて現に飛来する弾道ミサイル等を我が国領域又は公海(海洋法に関する国際連合条約に規定する排他的経済水域を含む。)の上空において破壊する措置をとるべき旨を命ずることができる。

 読んでいただくと分かりますが、ここには(宇宙概念に対置される)領空概念は出てきません。「上空」という、そもそもどう定義するのかが難しい用語になっています。

 私は「領空内を弾道ミサイルが飛んでいく際は、仮にそれが我が国に飛来するかどうかとか、我が国領域における人命又は財産に対する被害があるかどうかとかに関係なく、そもそも主権が侵害されているのではないか。」と質問しました。

 小林防衛政務官からは、法文とこれまでの解釈をそのままご説明いただきました。なかなか難しいところなのだなということはよく分かりました。たしかに我が国への武力行使には当たらないかもしれませんが、位置付け的には「ゴミ」のようなものなので、威力のあるゴミが主権のある地域を飛んでいけばそれを排除することは別に禁じられているわけではないでしょう。逆に高度が非常に上がる時、どの程度の高さなら主権侵害に当たらないのかという話にもなるでしょう。

 「宇宙とは何ぞや」と聞くと、「何をアホな質問をしているのだ。」と思う方もおられると思いますが、意外に深遠な議論があるのです。与野党を問わず、非常にご好評な質疑でした。


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