梶原康弘

【梶原康弘】TPP承認、衆院特別委員会で強行採決

 こんな政治に国民の命運を委ねてよいのでしょうか。安倍総理をはじめ、強行採決はしないと断言しながら、手のひらを返したように強行採決を行う。数々の失言には緊張感の欠片も感じられないし、国会審議を完全に舐めきっています。
 TPPの協定文は6,500ページにも及ぶもので、国会議員も中身を把握していません。米国大統領選挙のクリントン、トランプ両候補も、そして加盟国の国民の多くもTPPに反対しています。TPPが自由貿易のルールではなく、巨大企業や投資家を守るためのルールであることを知っているからです。そうした経済連携を数に任せて唯々押し切ってしまう。第二次世界大戦に向けて政府も政治家も軍部も財界もマスコミも盲目的に突き進んだ戦前の日本とどこが違うでしょうか。

 日本の農業は壊滅的な打撃を受けるでしょう。自民党は減反を廃止する方針を打ち出していますが、これは大規模化を図ってコストを削減し、TPPによる米価の下落に備えようというものです。中山間地で大規模化によるコスト削減は不可能です。
 遺伝子組換え食品や成長ホルモンを投与した畜産物が無表示で国内に流通し、一方で国産品は国内産表示ができなくなると言われています。食の安全・安心を守る術がなくなってしまうのではないか。
 医薬品の特許期間が延長され、医薬品価格が大幅に引き上げられます。混合診療や新たな保健の導入で国民皆保険が崩れる恐れがあります。
 ISDS条項とは大企業が他国へ行った投資や利益を守るために、企業が国家に対して損害賠償できる仕組みです。当該国の法律に基づかず、投資家の保護の視点から判決が出されるために国の主権さえも奪われてしまうのです。
 他にも金融や雇用、公共事業など国民生活、国のかたちを激変させると言われています。

 新自由主義が世界の貧困と格差を生み出したことは周知の事実です。米国と日本は国情も自然環境も文化も大きく違います。巨大企業にとっては一つのルールに統一したほうが投資しやすいのでしょうが、それぞれの地域や国に痛みや歪みを与えることになります。各国政府は国民よりも自国の企業や経済的利益のためだけにTPPを推進しようといているのです。大企業の利益でなく、新自由主義でなく、地域性や人々の暮らしを尊重した経済連携があるはずです。
 日本だけが国会承認を急いでいますが、もう一度その内容を明らかにして国民の意思を仰ぐべきだと考えます。


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