階猛

【階猛】ちぐはぐな安倍外交-三つの条約問題

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ここ最近、安倍政権の条約への対応をめぐって、立て続けに問題が生じています。

意味のないTPP強行採決~9日(日本時間)、トランプ氏が米国の新大統領に決まりました。しかし、同氏は選挙中、米国、日本など12か国が大筋合意したTPP(環太平洋パートナーシップ協定)から離脱することを表明しています。経済規模の大きい米国が参加しないとTPPは効力を生じません。にもかかわらず、10日、与党の強行採決によってTPPと関連法案が衆議院を通過しました。そもそもTPPは、農業に限らず、食の安全や医療など様々な分野に影響を与えます。その影響や対策がどうなっているか、国会で十分な情報公開もないまま衆議院の審議を打ち切ること自体問題ですし、そこまでしても米国が反対すればすべては無駄になってしまいます。まったく意味のない強行採決です。

遅きに失したパリ協定承認~パリ協定とは、温室効果ガスの削減目標を定め、地球温暖化を防止する新たな国際的枠組みです。こちらは米国や中国などが積極的に参加し、今月4日から効力を生じています。そして、7日から18日まで協定に参加した国々による会議が開かれ、温暖化対策の具体的なルールが話し合われます。ところが、安倍政権はパリ協定を国会で承認するための手続きを怠ってきました。8日にようやく承認されましたが、今回の会議で発言権はありません。日本に不利なルールとなる可能性があるだけでなく、京都議定書をはじめ温暖化対策をリードしてきた日本にとって、恥ずべき事態です。

核廃絶と逆行する日印原子力協定~11日、日本は原子力技術の輸出に関する協定をインドと合意し、国会の承認を得ることになりました。これまでこうした協定は、核兵器保有を米国やロシアなどに限定する核拡散防止条約(NPT)に加盟した国々との間で締結してきました。NPTに加盟せず、原子力技術の軍事転用の危険があるインドとの間で締結するのは、被爆国としてNPTを推進してきた日本の立場と矛盾します。しかも、安倍首相は、7日にはカザフスタンのナザルバエフ大統領と会談し、NPTを中心に据えた核軍縮・不拡散体制の強化に協力する旨などを盛り込んだ共同声明を発表したばかりです。

カザフスタンはソ連時代に核兵器の実験場が置かれ、多くの人が被ばくしました。日本と共通の苦しみを味わったこともあり、両国は親密な関係を築いてきました。私は、日本とカザフスタンの友好議員連盟の事務局長を務めています。上記の会談直前に、超党派の議員でナザルバエフ大統領と面談し、核兵器廃絶にかける熱い想いを直接聴きました。今回の日印原子力協定合意はまさに二枚舌であり、ナザルバエフ大統領も失望していることでしょう。いくら世界にお金をばらまいても、このようにちぐはぐな外交を繰り返していては、日本は国際的な信頼を得ることができません。


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