斎藤嘉隆

【斎藤嘉隆】ショボ過ぎて…。給付型奨学金

給付型奨学金の議論が与党でなされている。昨日、制度設計に関する提言を安倍総理に提出し、その概要が明らかになった。それによると、本格的な実施は2018年度で約2万人に給付、来年度は児童養護施設退所者を対象に実施するとのこと。

正直に言って規模がショボすぎて極めて残念だ。これまでさまざまな委員会でも総理や文科大臣と議論してきた。来年度から給付型奨学金を導入すると明確な答弁もあった。

しかし内容はどうだろうか。確かに来年度から返済不要の給付型奨学金の制度は始まるには始まる。しかし今回の提言では来年度の実施対象は児童養護施設の子どもたちだ。高校卒業見込みの対象者は約2000人弱。そのうち大学進学を希望するものがどれほどいるのだろう。現在10%ほどの施設退所の子どもたちの大学進学率が大きく向上し50%となったとしても給付を受けるのは1000人にも満たない。報道ベースでは給付の確定は来春の大学入学後で事前に確定しているわけでもないらしい。そうすると希望者はさらに減るのかも知れない。

仮に1000人の子どもたちに月3万円ずつ年36万円を給付するとすれば、必要な予算は給付分だけに限れば3億6千万円だ。なんとせこいことか。今年の5月の報道によると、安倍総理が約40回の外遊に使った費用が約90億円。2回ほどをとりやめれば捻出できる額だ。これで2017年度から給付型奨学金制度を導入したと胸を張って言えるのか。

本格的な実施となる2018年度以降はどうか。対象は約2万人。やはり給付は月3万円が基本だ。住民税非課税世帯の生徒のうち、5段階評価で平均4.3以上という極めて高い成績を挙げた一部の生徒が対象だと聞く。実に厳しい成績要件だ。ここまで拡大しても必要な予算は70億ちょっと。ちなみに私が所属している決算委員会で2015年度の決算審査が始まったが、会計検査院から問題ありと指摘を受けた事項の総額は1兆2189億円だ。過去には70億円の予算が付きながら対象が一人しかいなかったという高齢者就労支援の事業もあったと記憶している。何かが間違っている。

やはり基本的なスタンスが我々とは違う。本当は給付型奨学金など必要だと思っていないのでないか。教育は自己負担、自己責任、こうした考え方が強いのだろう。この政権に人への投資、子どもたちへの先行投資の拡大を期待するのは無理なのだと改めて思う。


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