小山展弘

【小山展弘】地域に根差した協同組合政策を考える―賀川豊彦シンポジウム

 十月二十九日、「助け合いの心が日本社会を変える!市民社会と賀川豊彦の友愛精神」のシンポジウムが開かれました。パネラーは、連合の逢見直人事務局長、全中の比嘉政浩専務、日本生協連の新井ちとせ副会長、早稲田大学の篠田徹教授、コーディネーターは東京基督大学の稲垣久和教授でした。早稲田大学の篠田教授は「今、皆様の前で奇跡が起きています。全中と連合と生協のトップが一堂に会して、これからの協同組合、助け合いの社会についてディスカッションしているのです!」とお話になりましたが、私も、この点については感無量です。私もこのようなシンポジウムを憲政記念館で開催したいと念願しておりました。また、一期目から取り組んできた「協同組合振興研究議員連盟」では、上記の皆様をはじめとする協同組合の皆様をオブザーバーとしてお招きし、立法運動のほかに、協同組合間のネットワークポイントの役割を果たすべく活動してきました。賀川豊彦先生も協同組合間の協同・連携を提唱していましたので、今こそ、私たち一人一人が先生の思いを受け継いでいかなければならないと思います。

 シンポジウムを聴いていて感じたことは、稲垣教授が投げかけたテーマ、「協同組合が地域でもっと連携すること、地域での役割を深化すること」「戦前の産業組合の伝統を見直すこと」です。稲垣先生のご意見には、全く同感です。農林中金の職員として、今後の漁協系統信用事業の将来像を検討していた時のことです。漁協系統は単位漁協から信用事業を分離し、さらに一部には「広域信漁連」といって県信漁連同志の統合が進められようとしています。しかし、頭の体操として「農協と漁協の連携あるいは漁協系統信用事業の農協への統合」という道もあったのではないか?飲みながら先輩や上司と話したことを覚えています。
漁協系統信用事業の将来像を検討していた時のことです。漁協系統は単位漁協から信用事業を分離し、さらに一部には「広域信漁連」といって県信漁連同志の統合が進められようとしています。しかし、「農協と漁協の合併あるいは漁協系統信用事業の農協への統合」という道もあったのではないか?と飲みながら先輩や上司と話したことを覚えています。

中山間地域や過疎地域で様々なインフラを維持するには、今まで以上に協同組合間協同、協同組合間連携が求められていると思います。地域・地方では、総合事業体の方が小回りが利き、効率が良いのです。農協と漁協のみならず、そこに生協や労金、全労済、信金なども連携する、そのようにすることで、それぞれの協同組合がバラバラに業務を行うならば事業継続が困難な地域でも、連携することで店舗等のインフラを維持できる、事業を継続できるケースも現れてくるのではないかと思います。もちろん、どのように連携するかは地域によって異なるでしょうし、全国一律である必要はないと思います。それは、まさに機能分化を推し進めることではなく、戦前の「産業組合」を参考にしつ、協同組合が地域協同組合の要素をより含めていくことではないでしょうか。

 しかし、昨年行われた農協法の変更、話題の経済事業改革なるものは、農協を「農家のためだけのもの」とし、産業政策の手段としてしか認識しておらず、今後、地域の利用者や准組合員を締め出しかねない内容を含んでおり、大変、懸念されます。協同組合に求められている地域での役割を切り捨てる方向性であり、ますます地域社会・地方経済は疲弊し、格差が広がることでしょう。野党がふがいないために、自民党の暴走を許す状況となっています。しかし、JA自己改革案の表題に「地域」という二文字が入っていることに、私は系統の誇りと矜持を感じます。

 農業政策は現場に近くなるほど地域政策と密接不可分になります。また、協同組合政策も、地域にいくほど、地域協同組合的要素が含まれてきます。「地域」をキーワードに、今後の協同組合政策を考えていきたいと思います。