緒方林太郎

【緒方林太郎】放射線教育?

 少し前になりますが、今国会、「放射線教育に関する質問主意書」というものを提出しています。これは堺市で頑張っている盟友森山浩行元代議士から話がありまして、私の方で責任を持って纏めた上で提出したものです。

 私は決して「反原発派」というわけではありませんが、それにしてもこれはヒドい話です。質問の所だけでも読み物として(悪い意味で)面白いです。さすがに文部科学省も怒っているのでしょう。かなり詳細に答弁書が返ってきています。ご紹介させていただきます。

【質問】

 先日、文部科学省の今年度委託事業である「科学的な理解をすすめる放射線教育セミナー」において、一般社団法人「エネルギー・環境理科教育推進研究所」から大阪府堺市の小学校に派遣された講師が「カリウムをまいたやつを君たちは食物を通してとるよね。君たちの体にも放射線がちゃんと入ってる。良かったねえ。そんなこと言っちゃいけないか。」、「実は身の周りにたくさん放射線がとんでいる。も、どう?放射線って痛いわけでもないし、当たり前のように生活できるし、ね、そうだよね。」、「レントゲン。受けてない人?(手を挙げさせる)で、みんな受けてるでしょ。バーン!放射線、ドーン!受けてる。」、「放射線は、鉄とコンクリートは通さない。なんか(原発事故が)あった時は鉄板だらけの服を着て歩いちゃう。じゃなければコンクリートの中に入る。」といった講義をしたと聞いている。

  これを踏まえ、次の通り質問する。

一 何故、一般社団法人「エネルギー・環境理科教育推進研究所」に事業を委託しているのか。

二 本年度を含む、過去五年の同法人に対する本委託事業予算の金額如何。

三 同法人の委託事業に関するパンフレットには「今こそ、放射線教育・理科教育の充実が必要です。」とある。政府として「放射線教育」とはどのようなものであるべきと考えているか。

四 同パンフレットには、「エネ理研の放射線教育研修・出前授業の意義」として「放射線教育の推進と理科教育の充実に貢献していきます。」とあり、その内容として以下のようなものを掲げている。

  「1.放射線に対する正しい理解を図る

2.理科教員をはじめ教職員の教育力向上

3.学校における理科教育の充実を図る

4.研究会等での放射線教育の活性化

5.全中理の発展向上の働きかけ」

  (ア) 今回の講義で「正しい理解」は図られたと、政府として判断しているか。

  (イ) 今回の講義で理科教員を始め教職員の教育力は向上したと、政府として判断しているか。

  (ウ) 今回の講義で学校における理科教育の充実は図られたと、政府として判断しているか。

  (エ) 全国中学校理科教育研究会の発展向上を働きかけるために、何故、国費を投じるのか。

五 今次発言については不適切であったと考えるが、政府の認識及び対策について答弁ありたい。

六 少なくとも本年度については、同法人に対する委託事業を取り消すべきではないか。

右質問する。

【答弁書】

一について

 福島復興再生特別措置法(平成二十四年法律第二十五号)第五十七条、東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律(平成二十四年法律第四十八号)第十八条等(以下「福島復興再生特措法等の規定等」という。)において、国は、放射線に関する国民の理解を深めるための教育等の必要な施策等を講ずるものとされたところである。

 これを踏まえ、文部科学省として、放射線に関する教育を推進するため、「放射線に関する教職員セミナー及び出前授業実施事業」(以下「事業」という。)を実施することとし、企画競争により、一般社団法人エネルギー・環境理科教育推進研究所(以下「研究所」という。)に事業を委託することとしたところである。

二について

 お尋ねの期間のうち、研究所に事業を委託した期間は平成二十六年度から平成二十八年度までの各年度であり、当該各年度における事業の経費として、平成二十六年度は五千六百六万八千八百三十五円、平成二十七年度は四千九百三十七万四千七百二十八円を研究所に支払ったところであり、平成二十八年度は五千百三十九万八十四円とする契約を研究所と結んだところである。

三について

 福島復興再生特措法等の規定等に基づき、放射線に関する国民の理解を深めるため、放射線の人体への影響、放射線からの効果的な防護方法等に関する教育を行うものと考えている。

四から六までについて

 御指摘の研究所のパンフレットについて政府としてお答えする立場にないが、事業は、児童生徒等に対する放射線に関する教育を推進するために実施しているものである。また、御指摘の「講義」は、児童を対象としたものであり、お尋ねの「教職員の教育力」の向上を目的とするものではなかったと承知しているが、事業により研究所から派遣された講師が、当該「講義」において、人体に必要な栄養素であるといわれているカリウムの摂取とカリウムに含まれる放射性カリウムの摂取を混同して説明したり、放射線から身を守る方法として一般的とは言えない例を説明したことのほか、当該「講義」における時間配分が不適切であったため、放射線の健康への影響や原子力災害が発生した場合の対応等に関し十分な説明が行われなかったこと等により、当該「講義」を受けた児童が、放射線に関し、科学的に誤った理解をする可能性があったものと認識している。

 このため、文部科学省として、平成二十八年十月二十五日に、研究所に対し、文書により、当該「講義」においてなされた誤解を生むと思われる発言を具体的に指摘するとともに、今後、事業により実施される授業において、講師の発言が誤解を招かないよう、また、科学的でかつ発達の段階に応じた適切な説明が行われるように、研究所において改善が図られるよう求めたところである。また、同年十一月四日に、同省担当部局が、研究所の代表理事等に対し、対面により、改めて同様の求めを行うとともに、児童生徒等に放射線の健康への影響等に関する科学的な知識を得させ、科学的に適切な理解をさせるための授業内容等の改善に関する対応策をまとめた報告書を早急に同省に提出するよう求めたところであり、お尋ねの事業の委託契約の取消しについては、これらに係る研究所の取組の状況を踏まえて判断すべきものと考えている。なお、御指摘の「講義」を行った講師については、研究所において、今後事業により実施される授業等に従事させないこととしたと承知している。


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