海江田万里

【海江田万里】臨時国会を振り返る

臨時国会は、会期末の混乱で17日まで3日間会期が再延長されましたが、実質的には15日午前1時から開かれた衆議院本会議で終了しました。今度の臨時国会を振り返ると、目立ったのは自民党の数を頼った強硬な姿勢です。TPP、カジノ法案、年金法案、いずれも国民生活に大きな影響を与える法案が十分な議論がされないまま衆議院では強行採決が行われました。選挙で勝って、多数を占めれば、後は数で押し切るだけというのでは国会の存在意義がありません。

特に「年金法改正案」では、今度の法案が成立して、年金を受給している人々は、年金額がどのくらい減るのか、その試算が政府側から示されませんでした。法案が参議院に送られて、最後の最後に、やっと「これから試算する」との政府答弁を引き出しましたが、これでは順番が逆です。先ず、試算があり、「こういうケースでは年金額がこれだけ減る」という数字が出されて、「それでも、将来世代のために我慢しよう」、「いやそんなに減るのではお年寄りは暮らしていけない」と判断が可能になるし、必要な修正のための議論もできるのです。

もうひとつ、今回の「法改正」は誰が考えても目先の手直しにすぎません。このやり方を認めれば、次は年金保険料の引き上げ、年金支給開始年齢の引き上げと、次から次へと年金改悪法案が提出され、今回のように十分な議論もないまま成立してしまいます。一番の問題は、現行の制度のままでは将来、年金制度が維持できなくなるということです。そこで、年金制度を抜本的に見直すための「年金制度調査会」を国会の中に作って、その場で各党が議論を始めることが必要です。国会にすでにある「憲法調査会」のような調査会を作るのです。これは野党が提案すべきでしょう。

安倍総理の経済政策(アベノミクス)がスタートしてまる4年が経ちました。この間、アベノミクスで暮らしが上向いたという話は聞こえてきません。特に、最近では安倍総理の経済政策の指南役である浜田宏一内閣府参与が金融緩和策の限界を認め、「学者として以前言っていたことと考えが変わった」とまで発言しています。そうである以上、これからの経済政策をどうしていくのか、国会で議論があってしかるべきでしたが、国会中継などを見る限り、経済政策についての議論はほとんどありませんでした。

また、今度の国会の最中に、アメリカの大統領選挙でトランプ氏が当選しました。安倍総理は、そのトランプ氏と直接面談をしているにもかかわらず、「中身は言えない」の一点張りです。年明け、トランプ大統領が誕生することにより、世界経済はどう変わり、日本経済にどんな影響を与えるかについては国会で議論を尽くすべきです。現在は、「トランプ相場」で、円安・株高になっていますが、今後、その流れが逆転する可能性もあります。その時、日本経済はどうするのか、そうした議論を通常国会ではぜひやってもらいたいと思います。


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