阪口直人

【阪口直人】原爆投下をめぐる真実について考えるーNHK特集と米国人との対話をもとに

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オバマ米大統領が現職の大統領として初めて被爆地である広島を訪れて、スピーチを行い歓迎されましたが、原爆投下を決定する際のアメリカ側の事情を検証すると、一般に知られていることとは違う真実が浮かび上がってくることを民進党和歌山県第4区阪口直人総支部長が指摘しています。

出典 : http://blog.goo.ne.jp/xday0321/e/a5887ba952e565fde2829fcf751fed08?fm=rss

 昨夜は原爆投下の意志決定がどのようになされたのかを迫るNHKのBSドキュメンタリーを観た。これは昨年8月5日に放送された『決断なき原爆投下 米大統領 71年目の真実』のロングバージョンでもある。
https://www.youtube.com/watch?v=35Z1JUx3jQc

 原爆投下に関しては数えきれないほど米国人と意見交換をしてきた。米国では学校で『トルーマン大統領は、より多くの命を救うために原爆投下を決断した』と教えられている。第2次世界大戦における原爆投下に対する意識調査のアンケートでは、未だ米国民の5割が「原爆投下が間違っていなかった」とする回答したという。

 しかし、この特集ではこの定説を根本から揺るがす資料や証言が明らかにされている。すなわち、22億ドルもの予算をつぎ込んだ軍は、開発の成果を知らしめるため、なるべく多くの犠牲者を生み出して原爆の破壊効果を最大限アピールしようとしていた。急死したルーズベルト大統領から十分な引継ぎを受けていないトルーマン大統領は、投下計画を軍が綿密に進める中、それに異議を唱える余裕も知識もなく、黙認するしかなかった。そして、『より多くの命を救うために原爆投下を決断した』というフレーズは世論対策として後から書き加えられたことなどだ。

 原爆の開発は、軍の原爆投下責任者グローブスに全ての権限が委ねられ、彼は巧妙に科学者たちに役割分担をさせることで、科学者は大量殺りく兵器を作る意識を強く持たないようになっていく。また、17発の原爆を、まだ空爆が行われていない都市に投下すべく具体的な計画を練り上げていく。一方、急遽大統領の重責がまわってきたトルーマンには、対処すべき課題が多過ぎて、原爆はそのひとつに過ぎなかったため、軍主導の計画を止めることができない。これらの事実が、アメリカ人の学者による公開された資料の分析や、グローブスへのインタビュー、トルーマンの日記、当時の状況を研究する科学者、歴史学者への膨大な聞き取りをもとに明らかにされていく。

 軍は最大の破壊効果をアピールするため、爆風が広がりやすい地形であることから広島と京都、特に執拗に京都をターゲットに定め、京都駅や紡績工場を軍事施設と偽りの報告を行う。一方、スティムソン陸軍長官は、京都への投下は国際的な非難を受けると反対。断念した軍は、広島は軍の大規模施設が集まる陸軍都市と強調、市民をターゲットにすることを巧妙に隠微する。トルーマンは広島に原爆を投下しても一般市民の犠牲はほとんどないと思い込み、広島が最初のターゲット決められた。そのまま長崎にも投下。報告を受けたトルーマンは想定とは違うことを知って愕然とし、これ以上の投下は中止する。

 一方、トルーマンは、世論を操作するための都合のいい大義として『多くのアメリカ兵の命を救うため』という物語を後付けで作ったと研究者は指摘する。これは最初のラジオ演説の原稿にはなかった文言だった。トルーマンは1963年に日本の被爆者に会った時、50万人の日本人の命を救うためというストーリーを新たに加えた。

 歴史は博物館に展示されるだけではなく、常に検証し、修正する勇気を持ち続けなくてはならない。イラク戦争も、後に明らかにされた『大量破壊兵器はなかった』と事実に基づいて位置づけが変わってきている。17発も投下する可能性があったということ自体、犠牲者を少なくするために原爆を使ったという説明とは完全に矛盾する。

 一方、日本側は原爆の惨状を正確に伝える努力をしていない。広島でのセレモニーでオバマ大統領が語った「死が空から降ってきた(death fell from the sky)」という演説はまさに茶番だ。それは、日米が昨年10月、核兵器禁止条約に反対したことでも実証されている。安倍総理は「核兵器のない世界を必ず実現する」と世界に向けて宣言したが、条約への反対は、明らかにこの宣言と矛盾する。唯一の戦争被爆国のリーダーが発したメッセージは本気ではなかった、単なる人気取りだったと国際社会から受け止められても仕方ない。

 明らかにされた事実が不都合なものであった場合、正面から向き合い、自らの立ち位置を変える勇気を持つことは難しい。しかし常に自らを振り返り、ご都合主義や思考停止になることを戒め、必要であれば新しい考えを受け入れる勇気を持ってこそ信頼を得られるのだと改めて思う。


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