山内康一

【山内康一】「小さな政府」の大きな問題

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歴代の自民党政権が法人税や高額所得者への所得税を減税するなどの「小さな政府」路線を進めて「小さすぎる政府」となったことにより、格差の拡大や子どもの貧困などの問題が出ていると民進党福岡県第3区山内康一総支部長が指摘しています。民進党が訴える「人への投資」を充実させるためには「小さすぎる政府」からの脱却が必要だと主張しています。

出典 : http://www.kou1.info/blog/politics/post-1419

5月から駅で配るチラシの内容です。ご一読いただければさいわいです。

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「小さな政府」の大きな問題

拡大する格差、子どもの貧困、非正規雇用の増加、重い教育費の負担、老後の不安など、いま日本は不安でいっぱいです。その主な原因は「小さすぎる政府」にあります。中曽根政権以来30年以上にわたって歴代の自民党政権は「小さな政府」をスローガンに新自由主義的な行政改革を進めてきました。政府の歳出をカットすると同時に、法人税や高額所得者の所得税を減税してきました。税金のムダ使いはカットすべきですが、福祉や教育などの必要な支出まで削ってきたのが実態です。行き過ぎた歳出カットにより、公的サービスの質は低下し、社会的セーフティーネットは穴だらけになりました。深刻な子どもの貧困は、セーフティーネットの不備の象徴です。

新自由主義的な「小さな政府」は、常に「自己責任」とセットです。「小さな政府」の下では、政府のサービスを減らすかわりに、個人や家族がサービスを自費でまかなうことになります。よほど裕福な家庭ならともかく、大企業の正社員でも病気や事故、災害などのリスクに自分ひとりで備えるのは大変です。ある日突然見舞われる不幸により、だれもが社会的弱者になる可能性があります。また、家族のあり方も変化し、ひとり親世帯や単身世帯が増え、家族内の助け合いにも限界があります。非正規雇用が4割を超え、所得格差が拡大する一方、貯蓄ゼロの世帯が3割を超えています。社会全体でリスクに備える「みんなでみんなを支える社会」への移行なしには、生活不安から逃れられません。教育や子育て支援、介護や医療、障がい者支援などに関わる政府支出を増やさなくては、日本は格差社会、ゆがんだ階級社会になってしまいます。「小さすぎる政府」の大きな問題を認識し、安心して暮らせるセーフティーネットを再構築しなくてはなりません。

なぜ「小さすぎる政府」になったのか?

高度経済成長期は、法人税率や所得税の累進性が高く、所得の再分配機能が強かった時代です。社会は安定して労働意欲も高く、生産性も上昇しました。所得の再分配が適切に行われ、「一億総中流」と言われる格差の少ない安定した高成長社会が実現しました。

しかし、1990年代以降の新自由主義的な税制改革では、企業の法人税と高額所得者の所得税を減税する一方で、消費税を増税してきました。高額所得者の税負担は軽くなり、逆に低所得者の税負担は重くなりました。法人税と所得税の減税により、税収自体も減少しました。こういった「税の不公平化」が、格差社会を招きました。格差社会は降ってわいた自然現象ではなく、政治的な選択の結果です。失われた20年の新自由主義的な政治が、「小さすぎる政府」を生みました。

新自由主義と「小さすぎる政府」からの脱却

他の先進国に比べて国民負担率(税や社会保険料の負担)が低い一方で、一定の社会保障を維持しようとすれば、国の借金が増えて当然です。しかし、国の借金も限界に近づいています。米国の経済学者のジェフリー・サックス氏は「税金は良き市民が支払う文明の対価である」と言います。格差や貧困を防ぎ、社会全体でリスクに備えるには、増税は避けられません。これ以上の財政悪化をくい止めて受益と負担のバランスを回復し、社会保障や子育て支援・教育を充実させるには、増税が必要です。その際に中間層や低所得層にとって重い負担となる消費税を増税するよりも、過去30年ほどの間に下げ過ぎた法人税や高額所得者の所得税を元の水準に近づけ、相続税や資産課税を強化すれば、必要な税収を確保でき、かつ、所得の再分配機能を正常化できます。その場合、税負担が増えるかもしれませんが、医療費や教育費などの公的サービスの自己負担額は減ります。増税と公的サービスの充実をセットで実現し、国民が「受益感」を実感できる税制と社会保障制度を構築すれば、将来の生活不安を取り除くことにつながります。

また、グローバル化は多くの国で格差拡大を招くため、政府は社会的セーフティーネットを充実せざるを得ません。気候変動や金融危機、失業といったリスクから人々を守るのは、政府の役割です。グローバル化で政府の役割は拡大します。政府の役割は増すことはあっても、減ることはありません。多くの国で「小さすぎる政府」からの脱却へと舵を切る必要にせまられています。

21世紀は「知識社会」「知識経済」と言われ、コンクリートのインフラ投資よりも、人材への投資(教育、職業訓練など)の方が投資効率の高い時代です。終身雇用が前提の社会では、「会社が人を育てる」のが当然とされました。しかし、非正規雇用が4割を超える現在、人材育成を企業だけに頼れません。「人への投資」は政府の重要な役割です。失業や疾病といったリスクに備えるセーフティーネットを整えると同時に、「人への投資」を充実させるためには、「小さすぎる政府」から脱却する必要があります。


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