緒方林太郎

【緒方林太郎】総務委員会質疑(地方財政)

thedemocraticparty

民進党の緒方林太郎衆院議員が、総務委員会で地方財政について質疑したことを解説しています。例えば、国の交付税特別会計には地方が償還するべき借入金が32.4兆円もありますが、国債を発行して国の特別会計で発生しているので、地方にとってはこれが借金という意識が高まらないため、制度改正を検討すべきと指摘しています。

出典 : http://ameblo.jp/rintaro-o/entry-12279297707.html

 久しぶりのアップとなります。ネタはたくさんあるので、徐々にやっていきたいと思います。今日、総務委員会で久しぶりに質疑に立ちました。お題は地方財政です。かねてから問題意識を持っていたテーマについて幅広く取り上げました。答弁者として私が尊敬して止まない黒田局長が出て来られ、議論がとても楽しかったです。

 

● 交付税特会借入金32.4兆円

 国の交付税特別会計には、「地方が償還すべき」借入金が32.4兆円もあります。強調しますが、国の借金ではありません。これは昔、地方交付税の財源が不足した際に、国が特別会計で借入金を行ったものの残りです。この国債による借入金は51兆円くらいまで膨れ上がり、これは耐えられないという事で、今の臨時財政対策債の制度で地方債を立ててもらう制度に変更したという経緯があります。そして、その51兆円を地方2:国1で負担することとして、地方側に34兆円程度が残りました。

 この借入金については、民主党政権時の平成23年に返済計画をしっかりと決める事としました。その計画に基づいてこれまでやってきたわけですが、今年の予算において、2017-2024年に返済すべき1.8兆円の償還を2050年以降に先送りしています。あまり知られていませんが、これは典型的な借金の将来へのつけ回しなのです。借金返しのための財源を、真水の交付税に変えたという事です。

 平成23年度から辛いながらに返済計画を作ってやってきたのに、ここで事実上のギブアップ宣言に見えてなりません。今後、どの政権であっても、「この件は後ろ回しにしよう」という打ち出の小槌的に差配していく事が出てくるでしょう。返済自体、画餅になっていく事を懸念します。

 そういう先送りをした理由としては、地方の貯金がなくなった、税収が伸びなかった、そんな所です。「なんだよ、その理由は!」と言いたくなる答弁でした。

 これは何が良くないかというと、財務省的には一般会計は痛まない。総務省と地方自治体は借金を特別会計に押し込んだまま交付税の真水を増やせる、という事で、借金を将来に付け回したくなる環境になっているという事です。もっと言うと、地方はこの32.4兆円を真の意味で自分の借金だと思っていないでしょう。国の特別会計で、国債発行によって成立している以上、そういう意識は高まらないのは当然です。ここは制度改正も含めて検討すべきです。

 ここは政権的には痛い指摘でしょう。本当に問題が大きいと思います。

 

● 地方自治体の基金

 最近、報道が増えてきている地方自治体の基金の問題を取り上げました。基金残高が21兆円に上っています。財政当局からすると、「赤字国債を立てて交付税を渡している。なのに、地方はそれを基金で貯金している。であれば、交付税を削らせてほしい。」という思いになるわけでして、財政審、経済財政諮問会議から厳しく指摘されています。

 私は21兆円の基金すべてが悪いというつもりは毛頭ありません。必要なものはたくさんあります。他方、青天井で基金が積みあがっていいわけでもありません。30兆、40兆、100兆になっていいのかと言えば、何処かにルールが必要なはずです。

 報道等で聞こえてくる地方や総務省からの反論の中には、「情緒的な必要性」を訴えるだけのものが散見されます。それでは財政審や経済財政諮問会議の議論には堪え切れないでしょう。「真に将来必要な基金(例:将来的なプロジェクトのための積立)」、「将来必要とまで言い切れない基金」という仕分けをするための何らかの指標を設ける必要があると思います。

 地方側からすると、国の地方交付税制度に信頼を置けないという面があると思います。また、三位一体改革のようにがさっと交付税を削減されるとたまらないから、そういう時に備えて貯め込んでいるという面は無いだろうかと思います。ここは交付税制度の信頼性を高める事が必要です。

 

● 都道府県の減債基金

 これは何かと言うと、臨時財政対策債の償還の積立です。臨時財政対策債というのは、交付税が足らない部分について、一先ず地方に借金をしてもらって、その償還については交付税で100%面倒を見るという制度です。例えば、非常にシンプルに説明すると、地方が1万円の20年債を発行すると、国から毎年500円(5%)のお金が交付税の中に入ってきます。それをきちんと減債基金に積立てていると、20年経てば1万円を償還する事が出来るという事になります。

 ただ、国から償還用で渡している交付税よりも、実際に減債基金に積み立てている額が少ない自治体がある事が判明しています。2年前の私の質問主意書答弁で明らかになりました。例えば、福岡県は借金返し用に貰った交付税と比べて、実際に減債基金に積み立てている額は累計で400億円も少ないです。

 これは福岡県議会でも問題になりましたが、県のポジションは「地方交付税は20年債:30年債=1:1のモデルで配分される。しかし、福岡県はこの比率が2:8なので、毎年積立てなくてはならない額は貰っている交付税よりも少なくなるのは当然。」という事でした。これについては、総務省も「きちんと積立てられていれば問題無し。」と答弁していました。

 ただ、折角償還用に貰った財源を別の事に使うというのもピンと来ません。「その差額(福岡県で言う所の400億円)は繰り上げ償還に使うのが望ましい、という考えではないのか?」と聞きましたが、これもあまり芳しい答弁にはなりませんでした。「望ましい」くらい言ってくれてもいいのに、と思いましたが。モデルは「20年債:30年債=1:1」ですが、これだと都道府県毎に凸凹が出るのでもう少しきめ細やかに交付税制度を作るべきという問もしましたが、これも「手間がかなり面倒」という答弁でした。

 

● 地方消費税の清算

 この話、とてもとても面白いのです。地方消費税は、まず国で徴収して、それを清算して都道府県に配分していきます。その清算をするための基準がおかしいのではないか、という指摘が地方から出てきています。

 もう少し分かりやすく話しますと、地方消費税については、一人当たりの税収額の指数が悪いのは茨城、埼玉、千葉、神奈川、三重、滋賀、兵庫、奈良等です。つまりは大都市圏のベッドタウンです。何故、そんな事が起きるかというと、これらの県在住の方は東京、愛知、大阪、京都辺りでモノを買い、持ち帰って在住地で消費しているでしょう。そうすると、今、この清算をするための消費は購入した場所で計上されています。なので、そういうデータをベースに清算をした結果、東京等に地方消費税が厚めに出て、逆に大都市圏の周辺地域では一人当たりの税収額の指数が悪くなります。

 これは分かりやすく、そして、本質的な「地方創生」だと思います。東京、愛知、大阪、京都等で購入され、それ以外の県で消費されているものの地方消費税がこれら大都市圏に落ちるというのは、社会保障等の財源としての地方消費税という考え方に反するわけでして、正しく「消費」税であるためには、清算基準を見直す必要があります。

 私の指摘は、「消費税の清算をするのに商業統計等の供給サイドのデータを使っているから、購入した場所で消費が計上されてしまう。何故、家計調査等の需要サイドのデータを使わないのか。そうすれば、実際に消費されている所で計上される。」という事でした。家計調査はサンプル調査だから信頼性が低いと言っていましたが、今後、(今は全数調査である)商業統計もサンプル調査になっていきます。ここは需要サイドのデータに基づくべきです。

 その他色々と議論していますが、ここまでの清算基準の改革は情報通信、旅行業、インターネット販売、カタログ販売等を基礎データから外すというような「slice by slice」の議論です。購入地と最終消費地をどう合わせるかという議論を詰めていくと、結局超ミクロの世界になっていきます。であれば、(現在17.5%に留まる)「人口」の比率を上げていく事が単純でいいのではないかと思います。地方団体もそういう要望を上げています。勿論、収入額等での補正を掛ける必要がありますが、「人口」という指標が一番分かりやすい事を否定する人は居ないでしょう。

 なお、こういう改革を進めていくと、恐らくは「圧倒的な東京の一人負け」になるでしょう。今、東京に配分されている地方消費税の相当部分は、東京でない地域(特に近郊)で消費されているでしょうから、「一人負け」というよりも、現在が「(他の道府県から見て納得のいかない)一人勝ち」というだけなのですが。

 今日は極めて技術的ではあるものの、地方財政の本質的な部分を議論できたと思っています。何か真新しそうな答弁はありませんでしたが、こういう話はきちんと追っていくつもりです。


記事一覧