篠原孝

【篠原孝】【政僚シリーズ5】 官邸の政僚が虎の威を借りて政策を歪める -既得損益打破と言いつつお友達をエコひいき優遇する安倍首相- 17.06.11

thedemocraticparty

森友学園問題や加計学園問題などで官僚が官邸を見て仕事をしていることが浮き彫りになっていますが、民進党の篠原孝衆院議員が、そのような事態になった元凶は内閣人事局にあることを指摘しています。

出典 : http://www.shinohara21.com/blog/archives/2017/06/_170611.html

 今まで折に触れ、「政僚」(政治的官僚)の危険性を指摘してきた。政治が官僚人事に介入すると、官僚はポストを与えられなければ仕事ができないので、国家の将来を捨ておいて人事権を握る政治家に追従してしまうことが想定されたからである。そして、私が心配したとおり、加計学園をめぐるドタバタ劇の中で官邸の政僚が安倍首相の意のままに(意を忖度して)跋扈し、政策が歪められる姿がくっきりと浮かび上がってきた。
【政僚シリーズ】
【1】日本の官僚制度の危機14.08.24
【2】西村内閣府副大臣のTPP情報公開撤回の怪15.05.24
【3】橋下徹市長政界引退宣言にみる政治家の出所進退15.05.24
【4】安倍官邸の経済優先外交は頓挫の連続16.12.07

<一括採用・一括人事から内閣人事局へ>

 何を血迷ったか、2007年7月第一次安倍政権の下、「公務員制度の総合的な改革に関する懇談会」が、国家公務員の人事を内閣で一元管理して、内閣機能の強化を図るための検討を始めた。福田康夫内閣に代わり、官僚人事を一元して内閣人事庁が提案された。官僚国家フランスの仕組みを念頭に置いたものである。これに対し、元通産官僚の町村信孝官房長官が「閣僚(各省の大臣)の人事権が弱まる」と反対した。その後、麻生政権でも与党自民党内ですらまとまらず、なかなか実現しなかった。
 民主党政権時代にも検討された。確かにあまりに省益にこだわるのはよくないが、それを直すための改革で、一括採用・一括人事などを導入したら、それこそ「角を矯めて牛を殺す」ことになる。日本の役所にプロがいなくなり、皆がジェネラリスト(なんでも屋)になってしまう。私は今日の姿を十分に予想できたので何かにつけ反対した。

<安倍内閣で完成した内閣人事局>

 ところが、ごく一部の人たちで議論が進み、私は他の多くの案件もあり、ほとんど党内の議論に参加できなかった。そのうちに、いつの間にか委員会に回されてしまった。そこで窮余の策として内閣委で質問しようとしたが、当局が恐れたか(?)、させてもらえなかった。
 ただ、幸いにして民主党の力不足からか民主党政権下では内閣人事局はできず、2014年次の第二次安倍政権になってから出来上がった。つまり、第一次安倍政権で始まり、紆余曲折を経て第二次安倍政権で完成し、今まさにそれが濫用されているのである。気がつかれないことだが、安倍政権の強権的性格の根源は実はこの内閣人事局にある。

<あまりの官邸介入が行政全般を歪める>

 大半の人は官邸が600人の指定職(部長審議官以上)を知る由もなく、大したことないだろうとタカをくくっていたに違いない。ところが安倍政権は、根拠もなしで規制緩和を叫びながら、官僚統制は全く逆の方向に進めた。上ばかり見て動く、いわゆる「ヒラメ官僚」は大臣を飛ばして官邸を見て仕事をしだしたのである。人事権が内閣人事局に移ると、上司は大臣・副大臣・政務官の各省の政治家ではなく、官邸になってしまったのだ。この数年、あまりに官邸の介入が凄まじかったため、あちこちで混乱が生じている。例えば、今国会、農林水産省所管の法律は8本あったが、そのうち5本は内閣の規制改革推進会議提出といってよい。

<国会議員と霞ヶ関幹部を操る官邸>

 私は安倍一強体制の強権的態度からして、内閣人事局に不安を抱いてきたが、まさに的中してしまった。小選挙区制度により議員の生殺与奪の権限を掌中に納めた上に、内閣人事局により各省の幹部を欲しいままに操り出したのだ。
 まともな社会では、やはり行き過ぎはいつか是正されていく。今回、加計学園問題での前川喜平前文科事務次官の正直な告白により、そのいかがわしい指示、命令系統にヒビ割れが生じ始めたのである。

<小松一郎法制局長官から始まった官邸の人事介入>

 総理が自ら乗り出した第一番目の人事は、小松一郎駐仏大使の内閣法制局長官への起用である。法制局は内閣の法の番人として各省庁のとびきり優秀な人材が参事官として出向し、その中から4人の部長が生まれ、総務主幹-次長-長官となっていく。他省庁の高官がいきなりなったことなど皆無である。安保法制をどうしても通したいという思いからのメチャクチャな人事だった。小松氏は第一次安倍内閣で安保法制を検討した時に国際法局長を務めていた。しかし、司司(つかさつかさ)の役職がある。いくら条約課長、国際法局長を歴任したとはいえ、ルールを大きくはずれた人事である。
 これ以降、安倍強権人事がこれほど明確に外に表れることはなかったが、ジワジワと内閣人事局を梃子にした霞ヶ関の官邸支配が浸透していった。

<官邸に跋扈(ばっこ)するヒラメ政僚>

 そしてとどのつまりが、今回の加計学園問題である。「森友学園問題の焦点化は解散狙いか17.4.3」のブログ・メルマガで指摘したとおり、酷さは森友学園の比ではない。四国の一角に1学年160人の巨大獣医学部が突然認められるプロセスは、まさに政僚の跋扈そのものである。官邸に集められた各省からの出向組が、官邸(首相、官房長官)のお覚えを得んと、虎(官邸)の威を借りてひたすらヒラメ官僚に徹したのである。
 総理の鶴の一声で認められる政策や予算があってもよい。しかし、自ずと限度がある。強引に事を運ぼうとした者として1番目に名前が挙がる政僚は藤原豊審議官(経産省)である。安倍首相や今井尚哉秘書官(経産省)あるいは菅官房長官の命に従って忠勤に励めば親元の経産省での出世が約束されるからである。大学設置基準どおり運用しようとする文科省に対し、ひたすら茶坊主に徹して圧力をかけた様は、マスコミの報道で国民に十分知れ渡った。見苦しい限りである。

<国家戦略特区をお友達優遇に使う安倍首相>

 安倍首相は、加計学園への獣医学部の認可について、獣医師を増やそうとしない既得権益の打破のためだという。何をいうか。総理の30年来の友人にとびきりの便宜を図ることこそ新たな既得権益を作り出すことではないか。
 構造改革特区も国家戦略特区も、政府が狙ったことを勝手気ままに実施する手段ではない。今治市に巨額の投資をして獣医学部を造るのが何の国家戦略か。畜産を振興するどころか、TPPでじわじわと縮小させんとしているのに、今更何でそんなに獣医師だけが必要なのか。それこそケチな「安倍お友達優遇戦略」以外の何物でもない。岩盤にドリルで穴をあけるというが、その穴にぶち込むのは国家の利益ではなく、安倍首相の汚れた柱(加計孝太郎の利益)ではないか。

<正常に戻すためには内閣人事局は廃止すべし>

 前川前文科次官が義憤にかられるのは当然である。加計学園問題は、官邸に群がるヒラメ官僚が、親元省でなくまさに官邸や最高幹部のほうばかり向いて動いた結果なのだ。そこにはもはや官僚としての矜持はひとかけらも存在しない。官邸はそうした輩の巣窟になってしまったのだ。この悪弊を打破するためには、内閣人事局は即刻廃止すべきである。そして従来どおり、人事は各省の大臣の専権に任せるしかない。さもなければ、日本の官僚組織は、官邸を横目に見た「全自動忖度機(そんたくき)」に成り下がってしまう。
 私立大学といえども、一旦できれば巨額の補助金が支払われ、壮大なムダを繰り返し、巨大な既得権益ができ上がっていく。一体何のための規制緩和なのか、全く本末転倒である。安倍内閣はますます暴走を極め、完全に狂い出した。早く何とかしないとならない。


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