篠原孝

【篠原孝】【政僚シリーズ6】 恐ろしい官邸の人事介入 -安倍内閣の嘘は一丸となって糾弾するしかない– 17.06.20

thedemocraticparty

民進党の篠原孝衆院議員が、米国は三権分立が機能する国だが、日本は全くなっていないと述べています。加計学園の問題を例に自民党が前川・前事務次官の証人喚問を拒否したりと立法府が行政府のチェックを果たさないことを指摘しています。

出典 : http://www.shinohara21.com/blog/archives/2017/06/post_106.html

<アメリカのチェック機能>

 アメリカではトランプ大統領が果敢に政策を実行している。重要な公約の一つであるTPPからの離脱はどこからも文句が出ていない。NAFTAからの離脱は何度も明言していたにもかかわらず、折れて再交渉に妥協した。これもさしたる波風が立っていない。それに対し、イスラム各国からの入国禁止という強権発動が地方裁判所で違憲とされ、司法がトランプ大統領の暴走にストップをかけている。
 いろんなことをしているトランプ大統領だが、よくみると一貫しているのは、自分の掲げた公約をすべて実行しようとしているだけのことである。もともと大半のアメリカのマスコミを敵に回して当選しているが、大統領になってからはマスコミのトランプ攻撃はより激しさを増している。それにもかかわらず、トランプ支持者(つまり彼に投票した者)の多くは支持し続けている。

 

<大統領の暴走を許さない民主主義国アメリカ>

 パリ協定からの離脱は、大統領になってから一度も触れていなかった。私は、相当迷っているだろうと想像し、これこそ穏便に済ますだろうと思っていた。ところが、離脱したので正直驚いた。しかし、政権内部からも擁護しようとした石炭産業からも批判の声が上がっている。
 そしてロシア選挙干渉疑惑である。今度は議会がコミーFBI前長官を呼び出してチェックし始めている。『 議会の厳しいチェックを受けるトランプ政権 – 三権分立の効く民主国家アメリカ – 』17.05.12 のブログ、メルマガで述べたとおり、アメリカは本当に三権分立が機能している国である。それに対してわが日本はどうかというと全くなっていない。野党がそろって前川前次官の証人喚問を要求しても、与党自民党は拒否し続けている。行政府をチェックするという立法府に課せられた使命を果たしていない。

 

<安倍一強が極まる日本>

 菅官房長官は記者会見で「総理から一切指示はない」と言い切っていた。そこに「総理の意向だ」「官邸の最高レベル」といった文書が出てくると、今度は「怪文書みたいな文書だ」と全否定した。その後一応文科省で調査をしたが、1日後に何も出てこなかったと言い放った。
 そして今度は前川前次官が存在するといっても再調査はしないと言い張っていた。ところが6/8の官房長官記者会見で厳しい質問攻めに遭い観念したのだろう、翌6/9松野文科大臣が一転、追加調査すると記者会見。通常国会の会期末を狙って6月15日に大半の文書の存否を認めることになる。アメリカと比べて、とても民主主義国家とは言えない。麻生副総理はアメリカのパリ協定離脱に対し、「所詮そのような国」と言い放ったが、アメリカから見ると日本こそどうしようもない国と映るに違いない。

 

<見苦しい官邸の前川前次官中傷攻撃>

 どこが酷いかというと、官邸の各省の人事に対する恐ろしい介入である。大臣、副大臣、政務官は政治家である。首相や官邸が人事で睨みを効かせて当然である。ところが今や前号で指摘したとおり、内閣人事局を通じて各省にヒラメ官僚を育成し、根付かせるだけではなく、心ある官僚の追放をし始めたのである。政権交代のたびに中央省庁の幹部も交代する、アメリカの回転・ドア人事でも最初は大統領が権力を行使しても、その後の各省の人事は各省の長官任せである。そうでないと各省の秩序が保てない。それにもかかわらず、日本は内閣人事局ができてまだ3年なのに、もう官邸が全てを取り仕切り始めている。
 前川前次官に対する菅官房長官の人格的攻撃が特に酷い。
 読売新聞が5月22日の朝刊で前川前次官の出会い系バー通い記事で先鞭をつけた。前川前次官が加計学園に獣医学部を認めることが「総理の意向」だという発言が朝日新聞(5月25日)に掲載される3日前のことである。読売の御用新聞化は誰の目にも明らかになりつつあるが、あまりにも露骨な前川潰し記事である。

 

<少しは反省した読売>

 読売は、出会い系バーは「売春の温床」だとし、「教育行政のトップとして不適切な行動に対して、批判が上がりそうだ」と提灯記事を書いた。そしてそれに喜んで呼応したのが、第二の権力者菅官房長官である。翌5月26日の記者会見で、「教育行政の最高責任者がそうした店に出入りして、小遣いを渡すようなことは到底考えられない」と断じた。その他にも「天下り問題で地位に恋々としていてやめなかった」と悪口を言いまくった。あまりに稚拙でみえみえの連係プレーに失笑を禁じざるを得ない。
 一方で、「官邸の最高レベルが言っている」とか「総理のご意向」とかは事実でないと強弁し続けた。前川前次官の発言を否定するために、とうとう御用新聞に情報を流し(既に杉田官房副長官から菅官房長官に伝わっていた)、更にその記事を悪用したのである。
 読売のこの突出した記事が国民やジャーナリズム界から総批判を受けることになった。さすがにむきが悪くなった読売は、後日社会部部長がわざわざ反論を掲載している。大人の国フランスでは、政治家の女性スキャンダルが大きく報じられることは少なく、まして政治に影響することはほとんどない。それを遅れた日本は政争の具にしている。

 

<ますますひどくなる官邸>

それに対し、官邸はますます暴走した。安倍首相は6月1日ニッポン放送(読売系列)のラジオ番組で、前川前次官が官邸に来たけれど一体なぜその場で反対しなかったのかと開き直った。前川前次官は、この点については現職中に意見を言わなかったことを素直に反省している。
 それならば、前川次官がそこで反旗を翻したところで、安倍総理は聞いたのだろうか。今の現状を見ていると聞き入れてくれたとは到底思えない。それどころか怒って数日後に更迭したのがオチだろう。というのは、森本康敬釜山総領事が朴槿恵大統領が弾劾されんとし、北朝鮮がミサイルと核の実験を繰り返す中、駐韓大使を二人とも日本に引き上げたことについて私的会合で批判的なことを言ったら、すぐに代えられているからだ。このことからすると、前川前次官は天下り問題の前に飛ばされていただろう。辞めて失うものがなくなったからこそ今回の思い切った発言・行動ができたのである。

 

<霞ヶ関の反乱につながってほしい>

 ところが、問題はその後も続く。後任の事務次官は、前川前次官が予定外に早く退めたからなれたので、反旗を翻そうとしない。それよりちょっと後に控えている後輩も、安倍内閣はあと3年も4年もやるかもしれず、嫌われたら出世は出来ないので当然口をつぐむ。こうして日本の官僚制度は「政僚」ばかりとなり死につつあるのだ。辛うじて反旗を翻せるのは、その下の下の部下である。つまり、安倍総理がとっくに総理でなくなったあとに幹部になる者なら真実を語れる。やっと心ある若手官僚が見るに見かねて文書の存在をやっと語り始めた。なぜならば、私生活まで監視し、御用新聞にバラす恐ろしい手口に霞ヶ関は震撼し、自らの危機を感じ始めたからである。

 

<マスコミも安倍追及に本腰>

 これにはマスコミも追従した形となった。私は6月8日の菅官房長官記者会見はテレビのニュースでしか見ていないが、一人の女性記者が敢然と正論の質問をぶつけ、しつこく追及していた。今回はこの記者会見が契機となり、さすがの菅官房長官も再調査しないとならないと腹をくくったようである。
 今日6月9日松野文部科学大臣が再調査をすると言い出した。これで化けの皮が剥がれていってほしいと願っている。日本が民主主義国家であることを示すためには、相当のいかがわしいことが行われていることが明らかにされ、安倍総理がその責任をとって退陣する以外に今の日本の政治を自浄させる道はない。


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